「来てくださったんですね!」 終演後、帰ろうとする私を見つけた沙知さんが声を掛けてくれる。 私は、一瞬気付かないフリをするか迷ったが、 「眞子さん!」 と呼ばれてしまっては逃げられず、意を決して軽く手をあげながら 「沙知さん、お疲れ様です」 と応える。 沙知さんの出演する舞台に対する、…
「三年目だね」 彼は去年とあまり変わらないように見える。 「ええ、三年」 私も去年と出来るだけ変わらないような声のトーンで話す。 「3周年おめでとう」 「おめでとう」 細長いグラスを軽く鳴らし、私たちは同じタイミングでシャンパンを口に含む。 円満離婚。 その代表例のような別れ方だった。 2…
私は大抵どこに行くにも一人だ。 一人でご飯、一人で映画、一人でライブ、一人でカラオケ、一人で旅行もしてしまう。 あ、そんな憐れみの目を向けないでほしい。 友達が全くいないわけではない、自分で選んで一人で居るのだ。 基本的に一人が苦にはならない性質で、むしろ女の子特有の一緒にしようと…
「凄いよく見えるね」 「田舎だもんねー」 「ねぇ面白いこと思いついた」 「何?」 「…星が欲しーなぁ、って」 「全然面白くないよ」 「笑ってるじゃん」 「これは面白くな過ぎてだから」 「笑ったから負けね」 「じゃあ…星を買う方針で」 「おっ」 「ちょっと感心するのやめて恥ずかしいから」 「買…