
#読書と女子 短評(1位-3位入賞作)
◎1位 10万チア
中道ひびき(びび天才)
https://cheerz.cz/p/1076706
『ビビを見た!』という、長らく絶版になっていた、児童書と言うには手加減なしの大海赫さんのとんでもない名作。この"トラウマ本"を中道さんは持ってきた。
「期間中、どの人の「好きな本紹介」も読み応えがあったのですが、中でもいちばん興味をそそられました。分かりやすく笑える/泣ける/役立つ本だけが「いい本」じゃないんだという、当たり前だけど見失いがちなことを思い出させてくれる書評でした」(T田)
よしもとばななさんのそれだけでも読む価値のある素晴らしい後書きまで触れ、なんの本なんだこれは!と言う興奮と興味を説明し切らずにカットアウトする文章のうまさだけでも十分なのに、その上で彼女らしい方法で音楽で再構築して見せた。これを一位に選ばずして何を選べばいいのだろう、という1位。(動画は上のCHEERZからどうぞ)
◎2位 3万チア
朔蘭
https://cheerz.cz/p/1078765
小学生の頃、佐藤さとるのコロボックルの世界にのめり込んだ少女が、数年後、浅野いにお沼にはまり、宮木あや子の『喉の奥なら傷ついてもバレない』なんていう官能的な短編集にのめり込む…。その成長の歴史も読書という行為そのものだし、何より「たくさんの自分が本を読んでいるという感覚」を可視化してるのを初めて見た。ユーモアもありおぞましくもある、表現主義のごとき凄いビジュアル。
ツァン
https://cheerz.cz/p/1072912
正直に言えば、おっぱいの第一印象にやられた感は否めない。そもそも本の上に寝る、という行為も、本を作る出版社の人間としてはどうかと思う。
その上で、「美しい姿に綺麗なお身体とお顔を投稿してくださりありがとうございます。さらに本、最高のセンスです。わたしの本棚とほぼ一緒です!」(N倉)という声も多数あった通り、文字通り、自分の肉体と本を同じレイヤーで表現してくれたチャレンジと、読書において心と身体は切り離されるものではない、という強いメッセージが込められているようで神々しい。表情、本のチョイスに至るまで絶妙。
ツナ缶
https://cheerz.cz/p/1078860
「今夜はどの子をベッドに連れていこうかしら」というタイトルにしてパンチラインと、このなんとも言えない怪しげな表情。そして写真を撮る人らしい、この写真のフィルム的雰囲気。
そう、読書は健全なものなんかじゃない。特に夜の読書は、魂をどこに連れて行かれる。魔の時間。「今夜はどの子をベッドに連れていこうかしら」は「今夜は私をどこに連れていくの」という反語だ。夜の読書の怖さとドキドキを一つに閉じ込めた甘美な写真。
そして彼女の抱える森茉莉の『贅沢貧乏』。若い女の子に読んで欲しい一冊。世界の見方が小さく強く美しく変わるはず。
まほ
https://cheerz.cz/p/1079030
「20年前の香港vs香港なう🇭🇰」。20年前の香港を撮った写真集を手に歩く今の香港。政治的なメッセージはなくてもちゃんと伝わることはある。
「武侠小説と女子」も中国独自の「武侠小説」に踏み込んだいい投稿でした。コスプレも最高。強くて勇敢で可愛いディズニープリンセスになれるはず。(動画は上のCHEERZから)
◎3位 1万チア
七詞 睡眠
https://cheerz.cz/p/1078256
シナリオ、衣装、メイク、撮影、編集を一人で手掛けたショートムービー。
「ことばでできていると言っても過言ではない本と人間と人生と世界をイコールで結んで、ひとつに溶かして全部まるごと、わたしの全部をかけて愛すことを、わたしはやってやるってきもちで生きてます」のだ。これが全て。
リストの「愛の夢」に乗せて。それは山戸結希のようだし、21世紀の大林宣彦のよう。(動画は上のCHEERZから)
熊王ナナ子
https://cheerz.cz/p/1079188
「ねじ式」ですか、そうですか。サブカルチャー的な何かを経てきた人なら誰しもが通る伝説の漫画家の中でも訳のわからないことにおいて金字塔のつげ作品の中に、彼女は軽々と入ってしまっている。ちくしょうもう見分けがつかないではないか。
橘さり
https://cheerz.cz/p/1079264
この人の過剰さはどこから来るんだろう。生命エネルギーが尋常ではない。
そもそもこの本を過剰に並べるシリーズと別に、「男はつらいよ」オマージュの一連の作品が存在している。どれだけエネルギーがあるのだ。そしてそれもまた素晴らしい。
その上でこれを選んだのは「鼻水垂らすほど感動して良いんだ!!!!とことん共鳴して、とことん向き合って、究極に感じるんだ!!!!」という過剰✖️過剰のほとばしる生命エネルギー。
たんぺ
https://cheerz.cz/p/1078803
「ブッダ」読んでるのにこの悪い顔。この人いつもこういう感じなんだけど、なんだろう。ありそうで見たことがないいい顔してるんだよね。
心。
https://cheerz.cz/p/1076550
文芸部の三つ上の先輩で、彼女が入学する前に卒業していった、いわば普通は接点を持つはずのない距離感の人間「クボタアヤノ」の話を連作で書いた投稿。
彼女にしか書けない物語ですごくいいので、ぜひ読んでください。
神田麗
https://cheerz.cz/p/1073266
本を読んでる女の子。#読書と女子 のテーマ投稿中の8割はこのモチーフだったけど、その中で美しさだけで言えば個人的にナンバーワンじゃないでしょうか。
朝倉かすみ『ほかに誰がいる』という、賛否の分かれる衝撃作なのもいい。
「「とっても鮮やかで美しい言葉で書かれた女の子」という文章は、彼女がなりたい像なのだろうと勝手ながらこの投稿を見て思ったけど、私から見たらあなたはもう既にそんな女の子です」(T島)
もう一つの「独白するユニバーサル横メルカトル」(平山夢明)投稿も美しい。
栗井さん
https://cheerz.cz/p/1073466
自分と読書の始まりにあたる「都会のトム&ソーヤ」について。
誰でも自分が平凡で特別だと思ってた頃に読んだ本についての、とてもいい文章。
「三秋縋さんの作品の登場人物になることが夢の1つです」とカメラテストでも言っていた三秋縋『君の話』ついての文章も良いです。
いけちゃん
https://cheerz.cz/p/1078615
「ブレインフォグ」で数年間悩んでる。ゆえに思考にモヤがかかって、本が読めないのだと。それを文字列で表現してるので、CHEERZで見てほしい。
「CHEERZでこんな表現が可能なのか!と衝撃を受けました。唐突に途中2、3行だけ整然と文字が並ぶところや、趣の異なる2枚の写真が入るタイミングなど、全体のリズムというか構成が巧み。霧のかかった脳内をそのまま出力したみたい」(T田)
小森まなこ
https://cheerz.cz/p/1077101
まさかボードレールの『パリの憂愁 』(しかも福永武彦訳の)にミスiDで出会えるなんて。最近は、ボードレールを愛する文学少年が押見修造作『惡の華』だったり、来てるのかな、ボードレール。
小森さんは、衣装もヘッドドレスも指輪も、そして表情までなんというか手抜きが一切なくて、彼女のメランコリーとデカダンへの愛と理解力と真面目さがわかる。
素
https://cheerz.cz/p/1079061
今回の連作のベスト作品だと思う。連作の意味がある。
第一夜から第六夜までで本を作り、最後の第七夜で「本を読む」。すごい。
Chacha.
https://cheerz.cz/p/1073442
この人の美意識の具現化能力の凄さが垣間見れる。
「最近またひっそりと書き始めた小説」ぜひ読みたい。
KOROMO
https://cheerz.cz/p/1077748
校内スマホ使用禁止の中学生が、友達に写ルンですで撮ってもらった写真。なぜなら本を読むのはどうしても学校だから。
読んでいるのが忌野清志郎『使ってはいけない言葉』なのもいい。「ぼくの好きな先生」といい「トランジスタラジオ」といい清志郎は実は学校が良く似合う。
「明日への問いをくれる本が好き」って言葉選びとか、これで15歳なんて、年齢なんて人の凄さにはまるで関係ないんだなと思う。
絡新婦 ぽぴ
https://cheerz.cz/p/1076067
「お泊まり会なう」で、友達(先輩?)と手に持つ本の絵画を雑に真似するピュアさと、『時計仕掛けのオレンジ』を車の助手席で読む制服の美少女っぷりと流れる猟奇的ニュースのおぞましさ。その間で生きている少女。
ツクヨミ ケイコ
https://cheerz.cz/p/1079279
本が似合う顔をして生まれてきてる。そして本とコインランドリーの相性の良さ。そりゃ強い。
S
https://cheerz.cz/p/1076225
色を排除した水着に、赤い本。加工のない肌色に無表情。エロい。とてつもなくエロい。そして彼女のグラビアはエロのさらに先をいく。
綴由良
https://cheerz.cz/p/1078717
もしも好きな本の表紙に私がなったら。この夢を、15歳の美少女が『オーダーメイド殺人クラブ 』(辻村深月)でやってしまう無自覚の美しさ。
直花
https://cheerz.cz/p/1077574
川下りをしながら本を読む。これ政府にGO TOキャンペーンの夏の広告で使ってもらえないですかね? 福岡は柳川の川下り(お堀巡り)しながら撮影した、今回指折りの完成度。「本を読んでいる人の横顔が好きです」という最初の写真からもう全て美しい。完璧、ってこういうこと。
菜花宇海
https://cheerz.cz/p/1078092
去年の11月なんとなく買って帰った装苑に痺れた私はいつか載る。きっと載れます。
クリティカルな彼女の文章というか態度が好きで、これもドライブ感でそれが書かれている。「これは私の作品なのに。ほかの人だって、全てその人の作品で、人生で、物語なのだ。価値を決めるな、比べるな、己の生き様を記して残していつの日か消えない魂を、世に知らしめてやるのだ。生きるために」。
南村杞憂
https://cheerz.cz/p/1078759
《講談社現代新書風刺繍ブックカバー》(2020)。刺繍糸と布で作り上げた世界の一冊の本。本とはほんとはすべからくこうあるべきだなと思ってしまう。
なもベイビー
https://cheerz.cz/p/1079096
[動画]雨ニモマケズ宮沢賢治。なんというかクセになる。ちょっぴり奇妙でダークだけど、なぜか心温まるクレイアニメ。
ぬこぱんち
https://cheerz.cz/p/1074120
「この本の読み方したことあるよーって方は是非チアーを🥰」っていう「あるある」。この人はこういう巻き込み方がとてもうまい。僕のような三十年前の高校生まで手を挙げてしまうもの。小人たちと本を読む「本の住人たち」も秀逸でした。
ノイア
https://cheerz.cz/p/1077220
「本は救世主。わたしは寂しさを紛らわすためのアイテムとして本を所持していました。本が好きな人から怒られそうな邪道な理由で本が好きです」って、うんうん、それ良くわかります。「これは王道中の王道で当たり前に好き💕になりました。読書してる女子って言われたらみんなこの子が浮かぶのでは?」(N一)メタ視点の二枚目まで含めて、彼女らしさが慎ましく全開。
橋本ゆき
https://cheerz.cz/p/1074185
「エドワード・ゴーリー。あとさ、ヤンシュヴァンクマイエルの"ALICE"とかさ、わかる人にはわかるかな〜きゅんきゅんする世界観。ヤンシュヴァンクマイエルの"ルナシー"はまじで狂ってるし見る人を選ぶ映画ではあった。推せる」と、いつも見せない不埒な部分を見せまくる都議会議員。読書の魔力だ。
白群
https://cheerz.cz/p/1073260
「頑張ったのに全然華やかな絵面にならなくてつら。いつもお風呂でちょびちょび本読んでるからどうしてもお風呂で撮りたかったんよ」という通り、おそらくカバーを外してるため予想よりも地味が絵面になってるのがまず可愛い。そしてビニール詰めされた死体のような本、という寂しさもあって、いい。
散ルハル
https://cheerz.cz/p/1077238
宮崎夏次系らしさ爆発の『夕方までに帰るよ』に自分の家族感を重ねる、そんななんでもないけど全部あるような夕方。連作で、ぜんぶいい写真。
ふんわりれいな
https://cheerz.cz/p/1078188
『西の魔女が死んだ』に優等生だった小学生時代を重ねた文章、すごく豊か。
「でもきっとあのまま学校にいたとして、私は今より楽しい人生を歩んでいる自信がない。人よりも遅いかもしれないけれど、ミスiDというコンテストを通じて諦めかけた夢を追っている今の方が輝いていると信じている」「本のストーリーと同じように、家族の事情で家を引っ越してから祖母と会う頻度が極端に少なくなった。たまには理由もなく祖母の家にお茶をしにいこう、と本を読みながら考えた」
「メイド服姿やコスプレ姿が抜群に似合って素敵と思っていましたが、この企画で雰囲気がガラッと変わり、れいなさんのまた違う良さを見つけてしまった感じ」(H輪)。名前はふんわりだけど、人生のファイティングポーズをとってる人。
UTERO
https://cheerz.cz/p/1079058
「旅行に行くときに、1人でお酒を飲むときに、よく持ち歩いている大切な一冊です」と紹介する『スロウハイツの神様 』(辻村深月)。これって本にとって究極の愛され方だと思うんですよね。
「本と夜って切り離せないものじゃないでしょうか。続きが気になって「早く寝なさい!」と親に怒られながらもページをめくる手が止まらなかった夜とか、どん底の気持ちで泣きそうになりながら本に手を伸ばした夜とか。そういう、人それぞれの「あの夜の記憶」を想起させる美しい写真でした」(O山)というこの『何もかも憂鬱な夜に』/ 中村文則も良い。
世界一かわいい小籠包ひるね
https://cheerz.cz/p/1077977
「難しいこと抜きで写真かわいい!ってなったのはこれ。トレードマークのキャップもオーバーオールもないのに、不思議と見れば見るほどアラレちゃんにしか見えなくなってくるのは、原作に対する愛と理解が根っこにあるからな気がします」(T田) 異論なしです。パーフェクト。
怠田ユニ
https://cheerz.cz/p/1078723
「学歴コンプレックスに押し潰されそうになって毎日泣いていた時、救ってくれたのは大槻ケンヂの『サブカルで生きる』と大森靖子の『かけがえのないドグマ』だった。たった2冊の本で凝り固まった学歴至上主義の脳みそはぶっ叩かれたし、その翌日に大学を辞めた」というエモい文とは裏腹の緑をキーカラーにしたポップな自撮り。
「とにかくこの本たちは好き!てか自撮り盛れた!な感じがビンビンして、そのあっけらかんとした素直な雰囲気がめちゃくちゃ好きです。本って別に神聖なものでも高尚なものでもないはずですし」(O山)
末次どりる
https://cheerz.cz/p/1077778
「末次さんは#読書と女子の中でも色々裏テーマを作っていくつも投稿していて、まずその意欲がすごく良いなと思いました。しかも写真のクオリティもどれも高くて素晴らしい。昨年、染井冴香さんが #ラーメンと女子 で『こまったさん』をモチーフにしていてとても素敵でしたが、末次さんの『こまったさん』見てハンバーグをこねてる姿もとっても良いです!」(M田)という通り、他の投稿まで全部いい。個人的には、神保町の矢口書店の前で本選んでたり、ガードレールに腰かけてるのたまらないです。これを選んだのは、ねむきゅんの本を例に「正直、本を手にする理由は沢山あればあるほどいいと思うのだ」という強い一文があったのと、本読みながら料理作るのって尊いなという気持ちに。
気軽にクリエイターの支援と、記事のオススメができます!