
#らーめんとじょし 選評③
世界ひろし
このイラスト、絶対来年使わせてください。ステッカーにしたい。
せんす
「お休みの日くらいしか食べられないのでいつもカップ麺を買う時はニンニクが入っていない物を選ぶのです。 しかし、今日は、休日!! とんこつ!!! ニンニク!!! 」と、ニンニクの幸せ噛み締める女子。「幸せすぎて目を瞑る女子が最高」ということは古来から伝わってますが、さらにメガネだ。しかもちゃんと度入り。この良さをどう表現すればいいかわかりません。
田村佐和
「ラーメン屋のおっちゃんと僕」。そう自分で言い表してる通り、まさしく ”おっちゃんと共に紡がれていくストーリー……😉” としか表現しようがない短編小説のような作品。写真は自分の顔など一つもなく、それどころかあんまり美味しそうじゃないラーメンの写真を前編後編で使い回し。おいこらかわいい顔見せろや...と、思わずヤ●ザのようにすごんでしまいそうになりますが、それも田村佐和沼なのだ。
Δゆら
「ラーメン、全て食べてくれた。それだけです」(N倉)「食べものにはそれぞれえろさがあるとおもうのですが、ラーメンにおけるその要素の一つは、どこかしらに漂う限界感だと思っています。木漏れ日の中、ちょっと強い風が吹く晴天のキャンパスで、死んだ目で麺をすする女子。ぞわっとするくらい性癖に刺さりました」(K山)
終わらない彼女のいつものおしゃべりそのもののように饒舌で、そして絶妙なシンコペーションのある文章。そしてCHEERZに誰かがコメントしてるけど僕も思ったよ。「が、がんがれ!! ウチもがんがる!」。
東条ジョナ
やる気のないハーフのお顔とカップラーメンほどアンニュイでドラマチックなものが世界にあるでしょうか。どこまでも清潔感のある赤ちゃんのようなえろすだ。
中杉天音
「普段あまりラーメン食べないマン」らしくチキンラーメン生齧りする16歳。一見それだけだけど、僕にはわかる。この心の奥に燃えている世界への呪いを。
棗夏子
博多生まれ博多(福岡市西区)育ちのガチガチのジロリーヌ尽くし。横顔可愛いんですよ。ほっぺたのあたりなんて特に。でもこのジローの残り香がきつく漂う写真が素晴らしすぎる。
浪木りお
ハーマイオニーのトレーナーを着てトンコツを食う女子高生。世界を最後に救うのはこういう女の子と決まってるのだ。
脳震盪ウサギエリカコチャン
なんなんでしょう。この思わず笑みがこぼれる大勝軒コスプレ。誰得なのかとかは知ったことではなく、脳震盪ウサギエリカコチャンだ、とこの作品は語っている。
橋本愛夢
「わりと素のかんじで写真とってきたよ〜〜(>_<)!! いっしょにたべる?♡」って、そんなことこの子に言われてNOって答える男存在しますか? ねえ、そこのお兄さん。この柔らかく結んだ両手の長い指、そしてこの膨らんだほっぺの中には、全男の子の夢が詰まってる。
ぱやちの
「この三分間が、何てことはない三分間が、おれに孤独の味を知らしめてくる。」。そしてなぜか思い出すのは父さん。ぱやちの先輩の紡ぐ文章は、ほとんどもう文学で、絵空事のロマン主義を否定して生まれたリアリズム文学の極北に位置する「私小説」の元祖、つまり令和の田山花袋であり西村賢太だ。
春乃
外で食べるカップヌードルとベッドで食べるカップヌードル。味は違うんだろうか。まるで書かないのでわからないけど、話したくなる。話してくれないだろうけど。
翡翠ベル
なぜか台湾の「ラーメン凪」での #らーめんとじょしは 、ほぼdisってるにも関わらずとても美味しそう。今回一番食べたいと思ったラーメンがこれでした。
藤井愛稀
ビーチボーイズも「sumahama」と歌ったあの須磨海岸で、なぜかカレーヌードルを食べてる藤井さん。そもそも何をしにきてるのかさっぱりわからないし、説明しようともしない。彼女の持つ優しい孤独を表現したかったのかもしれない。
へち
すごくどうでもいい情報なんですが、この選評を一人で夜中のガストで書いてた時、ちょうどこの投稿見てて、思わずこの「野菜ベジ塩タンメン」を頼みました。糖質オフのほうれん草麺に変更して。すごく人生に不器用なんだろうな、というのが伝わるへちさん。
星絵里香
「ラーメンがドクターストップで食べられないので、 過去の写真漁ってみました」というほどラーメンを食べ狂ってたらしい星さん。しかし十代にしてそんなこと言われるって一体どれほど気の狂った食べ方だったのだろう。
「笑いじわ出るほどワクワクしている良い写真ってことで」と書いてるけど、そんなに笑ってるようにも笑いこらえてるようにも見えない。この人は奥ゆかしさが多分すごくいいところで、それがこの写真にも出てる。
松本いづみ
「#らーめんとじょし」と「#あいすくりーむとじょし」を一緒にやってしまってる奇跡のポスト(フォーだけど)。無自覚なのでしょうか。にしても松本さんのCHEERZ前半の怒涛の子供の頃の写真しばり、とても好きでした。カメラマンなのに自分で撮らない写真っていうのに批評性感じます。
岬イル
「夜、好きな動画を見ながらカロリーを摂取する」という、大事な時間をその画面サイドから見た写真。インスタント丸かじりもそうだけど、まっすぐで嘘のない視線が刺さります。
みやがみ
「ラーメンだと思えばラーメンさ( ◜ω◝ )」というこれをいえばもはやなんでもありなのでは…と思わされる言葉になぜ説得力があるのだろう?と考えると、たぶんこの目だ。しかしこれは牛丼だ。
宮本夏花
この間違い探し、そもそも正直ちょっと何言ってるかわかりません。ミス同社だしとてもちゃんと可愛いんだけど、きっとどこかヘンなのだろうなという、心にヘンを隠した女の子、宮本さん。
みんみん
ニット帽を被った女の子とラーメン。ある嗜好を持った人たちに世界的につき刺さるはずだ。世界的にラーメンがあればだが。そしてここには載せてないが、風呂上がりにリアル部屋着にすっぴんメガネ。これもある嗜好を持った人たちに世界的に刺さるはずだ。世界的にラーメンがあればだが。
モ。
「台風に影響でこれしか売ってなかった」グリーンカレーとじょし。可愛いですね。でもそれ以上に、このために初めての動画編集をして、っていうその手間がプライスレスで嬉しいのです。彼女の隠れた努力っぷりがわかる。
安永桃瀬
「わたしは料理をするのが怖い」からマルちゃん正麺の袋をかじってる女。
そして「この循環が尊いから、料理が好き」と笑顔で白菜を頭に乗せる女。
どっちもほんとという、魔の女子ゴコロ三部作。
ゆべし
ラーメン食べるのに自撮りするのって難しいよね。でもきっとだいぶ冷めちゃったと思うけど撮ってくれてありがとう。こっちまで優しい気持ちになります。
洋梨
目が無い。これって無条件に最高の笑顔の条件なんじゃないかな。
るか
「仕事終わりどすっぴんだけどアプリのおかげで自撮り成功」って、ほんとにこれがすっぴんなら世の中にメイクはいらないです。アプリで盛れてるのを差し引いてもこの人のすっぴん感はいつも極上で、今回もそれをちゃんと見せてくれてます。見たいものをちゃんと見せてくれる。その丁寧なマインドはふだん二歳児を相手にしてるからなのかもしれません。
渡邊りつ
「誰と食べてるの? って1番気になりました。ラーメンって食べる人の前だと変わるんですね。たぶん。りつさんって、カッコいい投稿のイメージがあったけど、わたしはこの企画で1番きゅんってしました」(N倉)。こういういい女がパーカーで夜中にラーメン食べてるってそれだけで背徳感あるうえにこんな笑顔されたら死ぬよね、うん。その意味ではホラーです。「#あいすくりーむとじょし」の退廃的えろすの逆を行くこの”なんでもない感じ”。こっちの自然な路線とてもいいです。
mao
#が全角になってたので参加になってなかったmao 。…ってきみはツイッター初心者か。そして「私参加したはずなんですけど参加になってないんです」って抗議のDMきたから、どんな「#らーめんとじょし」だろうって見たら餃子でした。メンタルすごいな。でも可愛いから来年は「#ぎょうざとじょし」もいいなと思いました。
他にも、「ラーメン食べたいな」だけのさくらさん。写真を撮り忘れ白い壁を撮った椎名ナナさん。「やる気だけはあります」と言いつつベトナムのフォーを加えただけなので甚だ怪しいちぃさん。思い出のラーメン屋がやってなかった優華さん。「パチンコ行ったあとって何故か無性にラーメン食べたくなる」と言いつつファミレスで肉食べてる百合さん。最終面接のために炭水化物制限してるので参加できないと気だるい写真でつぶやく盧花さん。
ラーメンってみんな小さな物語だからいいのかもしれない、と思いました。大きくなりようがない物語。
今の女の子は知らないと思うけど、オザケンに「恋しくて」という曲がある。「お互いのことを知りすぎたけれど 嫌じゃないよ今そう思う」の後「キムチラーメンを探して夜遅く出かけたり」と云う歌詞がある。僕はここがとても好きで、考えてみたらそんなことをした思い出はないんだけど、それに似たような思い出がいくつかある。全くドラマチックな思い出じゃないんだけど、この年になっても覚えてる。いくつかのラーメンと過ごした夜のことを。
地球が美しいのは、人が自分だけのラーメンの物語を持っていて、それをみんな心の底に隠しているからかもしれません。
(終わり)
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